これからの世界は不安定で不確実であり、複雑さや曖昧さが増していくことが予測されています。加えて、国内においては少子高齢化が深刻な課題となっています。こうした中、まちをより良くしようと考えた時、どのようなまちが理想とされるのでしょうか。
 国立社会保障人口問題研究所が2015年に公表した将来推計人口は、人々に大きな反響をもって受け止められました。将来的に896もの自治体に消滅の恐れが示されたからです。小千谷市はこの中に含まれませんでしたが、推計された時点から、事態はより深刻さを増しています。2015年の生産年齢人口を100とした場合、2040年の小千谷市においては、57.9%にまで縮小することが推計されました。さらに、2020年に拡散した新型コロナウイルス(以下covid-19)は、世界的なパンデミックをもたらし、経済停滞からの財政出動により、国家財政も厳しさを増すこととなりました。追い打ちをかけるようにウクライナ危機が起こり、物価の高騰を招いています。この結果、先行き不安による産み控えから出生率が低下し、先述の推計値を上回るペースで地方における人口減少が進行しています。
 確かにcovid-19は、私たちの生活に甚大な被害を及ぼしました。しかし、一方で大きく進展した側面にも目を向けなければなりません。それは、日常生活のデジタル化です。三密の回避から企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が促進され、勤務地を限定しない働き方や、雇用慣行の見直し、副業の解禁などが推し進められました。学校教育においても順次予定されていた一人に一台の端末を支給する政策が前倒しとなり、一息に普及を果たしました。こうした動きは、当然ながら賛否両論ありますが、東京一極集中や地方の人口流出にとって、突破口になり得る可能性を秘めています。
 このように立場や視点を変えることで、別の見方や捉え方に気づくことができます。出来事に対し、意味づけをしているのは他の誰でもない自分だからです。そして、まちとは人の集合体に他なりません。その人々が集う中で、既にある何かをより良くしようと行動を起こすとき、文化や価値観の異なる相手との対立が生まれてしまうことがあります。しかし、必要なのは『対立を深めること』ではなく『それを乗り越えること』だと考えます。冒頭の問いに話を戻すと、理想のまちとは一人ひとり異なるものです。私は個々の希望が尊重され、主体的に自己の実現を思い描き、力を発揮できるようなまちこそ、目指されるべきなのではないかと考えています。
 よって、当委員会では同じまちに暮らす人々の希望を理解し合い、対話を深めるきっかけとなるような事業構築を目標に取り組んでまいります。一年間よろしくお願いいたします。

【事業計画】
1. 全員で取り組む、心動かす会員拡大
2. 脱ネガティブ思考を高める例会
3. より良い明日を思い描く納涼例会
4. 地方だからこそ必要なまちづくり事業
5. 4・7・9月例会の企画・設営